スタッフからのメッセージ

 運営スタッフのYukoです。40代のCAIS(完全型アンドロゲン不応症)です。

 まずなによりも最初にお伝えしたいことがあります……..。

「もう一人で悩む必要はありません! あなたと同じ仲間が、日本国内はもとより、世界中にたくさんいるのです!!


 AISやその他のDSDは、医師が本人はもとより家族にもすべてを説明しなかったり、説明を受けた家族が本人に内緒にしていたり、本人に告知をしても家族以外への口外を禁じたりと、社会の中でタブーとして扱われてきました。その秘密主義の中で、本人はもちろん、家族も大変苦しんできました。当事者にとっては、AISやDSDであることよりも、家族や医師から嘘をつかれたことや、不必要な手術を受けさせられたこと、誰にも話せない孤独感による苦しみの方が大きいと言っても過言ではありません。

 アメリカ、オーストラリア、イギリスなどには複数のAISやDSDのサポートグループがあり、子供から大人、そしてその家族が密にコミュニケーションをとり、医師や病院の協力を得ながら、お互いをサポートするシステムが作られています。職場や友人にAISやDSDであることを公表して生活している方もたくさんいます。テレビや映画など、メディアで紹介されることも増えてきました。AISをはじめとする性分化疾患が社会で認知されるにしたがい、本人や家族にとって生活しやすい環境が少しずつ作られています。

 まだまだ生まれたばかりのサポートグループですが、アメリカをはじめとする海外グループの活動を参考にしながら、日本の文化や生活習慣に合った形で、AISをはじめとする性分化疾患を持つ女性やその家族が快適に、安全に、幸せな人生を送ることができる環境を作っていければと思います。

 特別なことをする必要はありませんし、準備ができていなければ本名を明かす必要もありません。小さな一歩を踏み出して、お互いにつながり合い、メールで悩みを打ち明けたり医療情報を交換できるようになるだけでも良いのです。いただいたメールや個人情報は責任を持って管理いたします。

 これから思春期を迎えるAIS-DSDの子供達、さらにはこれから生まれてくる世代により良い医療/社会環境を残すためにも、一人でも多くの当事者、そしてその家族の参加をお待ちしております。

 最後に個人的な話しになりますが、私は性腺摘出手術をしていないので、ホルモン療法を受けていません。毎年一回、MRIと超音波での画像診断、血液検査を受けてモニターを続けています。アメリカのサポートグループで出会ったAIS女性たちの多くは、かなり早い段階で性腺摘出手術を受けており、長期間のホルモン療法を続けています。昨年のAISカンファレンスでは、100人以上のAIS女性の中で、性腺摘出手術を受けていない成人はわずか数名でした。性腺摘出手術を受けてホルモン療法を始めると、健康的なホルモンバランスを維持することが難しくなり、体重増加や情緒不安定、鬱状態、更年期障害のような症状などに悩まされることが多いようです。性腺摘出手術の際に家族や医師から「癌化しそうな卵巣と子宮を摘出する」などと嘘をつかれて、あとから本当のことを知ってショックを受けたという方にもたくさん出会いました。さらにはPAIS(部分型アンドロゲン不応症)では、子供の頃に外生殖器の「整形」手術を受けたことで、生殖器の感覚を失い苦しんでいる方も本当にたくさんいます。こういった理由から私は、乳幼児期から思春期にかけての手術には、保護者が責任を持って慎重に対応することが大切だと考えています。医師から「癌化する可能性がある」などと説明を受けると、冷静な判断がしづらくなってしまいますが、自然なホルモンを分泌できる性腺を残し、きちんとモニターをしながら生きていくという選択肢もあります。外生殖器の手術も、「子供が、自分が他の人と違うことを知るとショックを受ける」と言われることもあるようですが、本人が自分で決断できる年齢になってから決めても遅くはありません。  手術の提案を受けたご家族の方、もしくは成人の当事者の方で迷っている方がいらっしゃいましたら、ぜひ当サポートグループにメールでご相談ください。できる限りの情報をご提供いたしますし、実際に手術を受けた方、手術を延期した方に、直接相談することができるように手配することも可能です。

 より多くの当事者と家族が、AIS、DSDに翻弄されず、健康で幸せな人生を送ることができるように、サポートの輪を日本にも広げていきましょう! 

2012年6月
アンドロゲン不応症と性分化疾患のサポートグループ代表
Yuko